人間寿司を描いている理由について

人間寿司を描いているのには、理由があります。元々は立花隆さんに憧れて、利根川進さんとの対談本(精神と物質)を読みました。そこで、人間の遺伝子は他の生き物と99パーセント同じという説がありました。そこで感じたのが、人間と他の生物はあまり違いはないのではないか、という気付きでした。 そういうのを社会に落とし込んだ時見えてきたのが、人間は他の生き物を殺生して食べるけど、それは果たして本当にいいのかという子どものときの記憶に残る印象でした。 確かに人間は生き物である以上、他の生き物を殺生しないと食べて生きていけないのが今までです。しかし、やりすぎた殺生や現在の先進国に見られるような今までの大量生産、大量消費の社会、またその生き方はかなり曲がり角に来ていて、その人間が食われる側になったら、世の中は違って見えるのではないか、というのが原点にあり作品化しました。 この話をイギリス国立美術館で北アイルランドにある、アルスター美術館の主任学芸員の人に英語で話すと、その言う倒置による社会のとらえ方は西洋でもギリシア神話にも登場するし、世界中にある考え方だから、世界中で通じる世界観で作品がどこでも評価される可能性がある、と励まされたのを覚えています。アルスター美術館がある、ベルファーストのちょっと高級なカフェの夕方14時頃の太陽を眺めながら。