田中拓馬の脳を開く


こんにちは、田中拓馬です。今まで作品のコンセプトを語ってこなかったかもしれません。そこで今回はどういう意図で作品を制作しているか、自分自身の脳を開く、思考回路を明確にすることをしてみたいと思います。

今までのシリーズでは、女男、頭から木、ケーキシップ、人間寿司、資本主義、そしてラーメンと様々なシリーズを打ち出してきました。

これらは遠目に見ているとどのように関連するか、よくわからないという事があります。ですが一貫したテーマが潜んでいます。

一言でいうと、どれも社会や生きている感覚からは大きな違いに見えることもおおらかに見れば大した差がないのではないか、という所に根差しています。 女男も、性別は染色体ではほんの一部で違うだけですが、人間という枠の中で性別を捉えると大きな違いに感じます。ですが、かなり引いて見ると大した差はないのではないだろうか、という問題意識です。つまり、社会ではこの男女間の違いやさらには人種などの違い、など大きく取りざたされますが、よくよく考えて広くとらえておおらかに生きられる生き方を目指したいという視点から描かれています。

また、頭から木は、頭の毛が芝生のように感じたことや、遺伝子がほかの生き物との差において99パーセントは同じであるという説があることから、頭から植物である芝生、さらには木などが生えてもおかしくないのでは、という所からきています。つまり、これを飛躍させるならば、木も人間もかなり引いて見ると大差ないのではないか、大きな違いと感じているのは人間の側ではないかという問いかけでもあります。

ケーキシップは、イギリスのアルスターミュージアムに入った作品のシリーズですが、ケーキの中に人間が飛び出るという奇怪な構図になってます。これはロバートラウシェンバーグのコンバインシリーズがヒントになっていて、先ほどまでのシリーズより飛躍しています。ですが、異なるものは有機物だろうと無機物だろうと、今の科学はよくわかっていないことだらけであり、新たな組み合わせもありうるのではないか、社会がカテゴリー化して区別したほうが人々の気持ちがすっきりするだけではないか。社会が想定していない組み合わせも色々な形が考えられます。

そして人間寿司シリーズはこういう人間中心の捉えた社会や生き物、その他の考え方に矛盾は起こりうるという想定で、人間中心主義に対するアンチテーゼから生まれたシリーズです。

さらにこの人間中心主義は同じ人間内でも大きく経済的に差を設けて格差や生き方において平等の要請をあまりにも軽視して、一部のものだけが世界を牛耳る今の社会の矛盾点を突いてます。

最後になりましたが、ラーメンシリーズは実は田中拓馬本人の好物であり、最強の食べ物であるという認識があります。この食べ物は老若男女、世代、世界を超えて多くの方に愛され、様々な思い出が共有される食べ物だと思っています。手ごろな事から、庶民の味方でもあり、富裕層の方も取り込まれてしまう不思議さがあります。そして製造法はアートのように秘伝の技が使われていて、芸術的なところもあり、食文化の中では、異彩を放っており、今までのシリーズの異なるものを結びつける、対立ではなく、融和的な接着剤的な要素を感じています。

以上長く見てきましたが、田中拓馬のアートのコンセプトとしては、俯瞰的にとらえて細かな違いを除去するという意図があり、これらが進んで融和的な世界を見てみたい思いがあります。それらを作品のテーマにしています。