路上から世界へ 田中拓馬物語~ニューヨーク売り込み編その2~


前回からの続きです

宿に着いて小さな標識を見て中に入りました。階段は古くギシギシいって、エレベーター何てある感じではありません。三階まで重い荷物を引きづって中に入りました。そこには3人ほどの日本人の若者がいました。チェックインを済ませて二段ベットの下に泊まることになりました。

しばらくして宿のオーナーに日本からはるばる絵を売り込みに来たのだけれど、どこに行けばいいか尋ねても、よくわからない素振りをされたので、自力でギャラリーを探すことになりました。日本からはこの時のためにThe Artdealerという本を図書館で借りたのを忍ばせて持ってきていました。そこには1980年代以降の有名なギャラリーのオーナーに対する対談が載っていて、バスキアを育てたメアリーブーンやさまざまな画商が名前を連ねて、いかにしてNYのアート市場を開拓してきたかが描かれていました。

その中に一人だけ行けばオーナーが絶対あってくれるという記事がありました。それを調べて、そのオーナーに会いに行きました。そこに何とかたどり着き、ギャラリーのオーナーに本を見せました。それを見たオーナーである彼は大変喜びました。自分のことが本のページになっていて、しかも30年弱前の彼の写真を発見したからです。彼は上機嫌になり、部下のかたにそのページをコピーするように伝えました。

そして、僕にギャラリーの中を案内してくれました。その中はかなり広いギャラリーでしたので、アメリカは絵が大きいなと思いました。最後に見終わる頃に上にぶら下げられている鉄の棒の固まりを僕に見せて何かわかるか?といってきました。僕が見るにただの棒の固まりが不規則に並んでいるだけです。良くわからないと伝えると、下を見ろと教えてきました。そこで下を見ると、アメリカの国の形が黒い影でできていました。その時、気づきました。つまり上の棒の固まりに光をぶつけてわざと影を作り、アメリカ合衆国の影をつくっていたのです。その時アメリカはやはり絵にも作品にも驚きを求める傾向があるのだなと改めて思い知らされました。

そして、最後にお土産でギャラリーの地図があるギャラリーガイドブックを僕にくれました。これでギャラリーにローラー作戦で営業をかけられると思いました

続く