「表面だけをみればいい。」


スタッフ通信

誰もが一度は見たことがある、「キャンベル・スープ」や「マリリン」で知られるアンディ・ウォーホルは、20世紀後半における最も有名なアーティストといえます。

アメリカのポップ・アートの作家だったウォーホルは、芸術=高尚という思い込みを打ち破るように、大量生産品やマスメディアによってもたらされる大衆的なイメージを作品にとりこみました。

こうしたポップなモチーフや色彩にもかかわらず、作業の痕跡を一切残さない画面は、機械製品のようなクールな印象を与えます。

ウォーホル以前に出てきた抽象表現主義の作品は、その背後に深い精神性を感じさせるものでした。

これに反発するかのようにウォーホルは、自身の作品に隠された意味はなく、ただ表面に見せるものが全てであることを強調します。

また銀髪のカツラや整形で尖らせた鼻、黒づくめの服などによって徹底して自己を表面的につくりこみました。

また、マリリンの死の直後に制作された「マリリン」や、ケネディ大統領暗殺を連想させる「ジャッキー」など、ウォーホルの作品には常に死の雰囲気が漂っています。

ウォーホル自身も68年に拳銃で狙撃され、奇跡的に一命はとりとめたものの生死の淵をさまよいました。