田中拓馬のアート武者修行 その4


前回は四谷アートステュディウムに入り、岡崎乾二郎さんのゼミに入って、六義園にフィールドワークに行く話を書きました。しかもそこで5枚の紙をわ渡され、全体を描くようにというミッションでした。

六義園は回遊型の庭園で入口を左に狭い所を通ってわたると築山があり、その周りが池になっていて、ぐるっと回れるようになっています。
紙を渡された僕は、当時アートの基礎やその発展形であるアートのとらえ方が、かなり不十分でした。絵を描いて5枚で回遊の周りをスケッチするしか頭が働きませんでした。

後にこれを回った趣旨や岡崎さんなりの全体像のとらえ方の話が教室でレクチャーされました。六義園はたしか徳川綱吉の頃造られた庭園で色々な見どころがあり、それらをつなぎ合わせると全体像がみえてくるとのことでした。

まず入り口を入って左に狭い所を通されるのですが、これは、その後の広場や築山を広く見せるしかけでしたや。築山は富士を表していて、それらを大きく見せるために一度狭い所を通して、感覚を麻痺させてからの広場や築山を大きく見せるというのが、狙いのようでした。

また川が流れてないのにあたかも川が流れていたかのような跡があったりします。このあたりに小さな庵があり、あたかも強者どもが夢のあとのような感覚を呼び覚ますかのようなつくりがあったり、様々な仕掛けがあります。これらを5枚でまとめると岡崎さんの狙いのようでした。これにはおそらく、六義園の本を借りて総合芸術である庭園の造りがどういうものか勉強しないといけません。何事も奥が深いものだ、と当時認識した覚えがあります。

次回は実際の授業などです。