田中拓馬の短編小説


こんにちは。田中拓馬です。いつもお世話になっております。私の世界観も少しでもお伝えできればということで、不定期で文章を載せさせていただきます。良かったら読んでいただけましたら幸いです。

短編小説1〜子供の心を描く大人〜

電車に乗る時、太一はいつも先頭車両の最前列に乗ることにしている。彼はある商社に勤めていて毎日精力的に働いている。 そんな彼には、心の平穏の時間がある。日曜日のデッサン会に通うため、自宅の最寄りの春日部駅から、神田に通うまでの通勤時間だ。

彼の心のオアシスの時間である。

子供の頃の記憶が鮮明に残っている彼にとって、小さい頃憧れた鉄道の記憶は今も風化せず、かえって豊かに残っている。彼は小さい頃は鉄道の運転手になりたかった。そして今はアーティストを専業にすべく日夜努力している。 そんな中のクリスマス後の晴れたら日曜日、今日の電車は青空の中を雲を切って走るかのように軽快に進んでいく。それを見ていると普段の疲れは飛び去ってしまうかのようだ。

今日のデッサン会では何を描くか、いつも以上に気合いが入る。 清々しい一日を感じさせるようなデッサンの構想の糸が電車の振動と彼の心の鼓動を紡いでいくようだ。