YAHOO FINANCE 訳文


YAHOO FINANCEに僕に関する記事が載ってます。こちらは訳文です。光帆さんに訳してもらいました。

創り手との出会いやその頭の内側を覗くということは、専門家の造形の深さと未来へのビジョンに親しむ機会を与えてくれる。アートの重要性が認識され始めている現代において、この機会は最高の喜びである。このような漠然とした不安の広がる時代には特に稀有なものであるということは言うまでもない。

田中拓馬、という人物をご存じだろうか。現在、イギリス国立アルスター美術館にその作品が収蔵されている成長中のアーティストだ。彼の作品は世界中の美術愛好家の間で高値で取引されることで知られている。

彼は1977年生まれ。幼いころから優秀な学生だった彼は、早稲田大学法学部に在籍し、司法試験を突破することを目標にしていた。目標達成の為、日々16時間近く勉強をしていたが、その無理が祟り心身共に病んでしまう。

そんな中、主治医からセラピーとして絵を描くことを勧められる。これをきっかけに彼は絵を描き始め、最終的には自身の進む道として選ぶようになる。彼が路上で1枚1枚、売り始めた絵は、今では1万ドルを越す価格で取引されるようになった。インターネット上のオークションでは、この8年間で100倍以上の値段で落札されるようにまで成長した。また、パリ、ロンドン、アメリカなどのギャラリーなどでも作品は展示されている。

その作品作りに置ける彼の視点。それは「俯瞰」であると田中拓馬は言う。続けて、現在に至るまでの道のりや日々目指すものについて彼は語る。

「絵画というのは、窓のようなものです。普段は見えにくいものを解釈しわかりやすく伝えることができる。僕の作品を購入される方々は、一般的に経済的な自由度の高い方です。そういった方々は、各々の人生経験に基づいた価値観というものを強く持っていらっしゃることが多い。僕は彼らに日々新しくなる世界の要素を理解し、また絵画という今までとは別の窓から世界を深める機会を持ってもらいたいと思います。田中拓馬の絵という新しい窓を通して、彼らの価値観をより時代に即したものにアップデートしていくことができると考えているのです。」

次に、現在に至るまでの道のりの中で直面した困難について聞いてみた。最も大きな試練は、路上で絵を売っていた、かけだしの頃であったという。人々の浮かれる春も、夏の炎天下も、凍えそうな寒さの冬も、彼は駅のそばの道沿いに絵を並べ、通りすがりの人をに声をかけ続けた。

「大多数の人はただ通り過ぎるだけで、足を止めてくれる人はほんの少数でした。『美大に行って勉強しなおせ!』と悪態をつかれたこともあります。でも段々とそういった人は減っていって、代わりに作品を購入してくれる人が増えていきました。『あなたの作品は素晴らしい』『巨匠の作品のようだよ』と肯定的な意見をくれる方もいました。この頃の経験は僕の基礎のようなものです。お陰でそれからの人生でぶち当たる苦難がそれほど大したことは無いと思えるようになったのです。」

最後に、今後の目標や抱負について聞くと、彼の目標は積極的な社会の流動化を促進し、社会を前向きに再構築することだという。彼はアートはそういった動きに刺激を与え、またコミュニケーションに力を与えると考える。

「僕が生活費を稼ぐ手段を持たず、精神的に疲れ果てていた頃、絵を描くことで精神が落ち着き、またいくらかの糧も得ることができました。当時の絵は、決して少なくない回数、富裕層の人々に買ってもらいました。このとき、お金は社会の上部から下部へと流れたんです。社会的、言語的、国境的、文化的な垣根を超えて、このような変化を世界で起こすことが最終的な目標です。」

曰く、彼の仕事には2つの要素が決定的に重要な役割をもつ。1つは絵を描いて販売すること。もう一つはアート教育である。

田中は鳥瞰的に世界を観る。あることを細かく分析するよりは、広い視野で複数のものを見て、そこに一定のパターンを見出して表現することを好む。この手法をもって、2008年からは海外での発表に向けて準備を進めた。

最初は埼玉の浦和で活動していた彼だが、その後、見分を広めるためヨーロッパやアメリカへの旅に出た。その中で、自分の絵を展覧会に出す機会を掴んだ。飛び込みでギャラリーを回り、自身の絵を売り込んだというから驚きだ。その旅から徐々に海外での活動の幅を広げ、ファンを増やし実績を積みイギリス国立アルスター美術館に作品を収蔵することができた。

さらに彼は、絵画が果たしたセラピー的な役割についても語る。媒体となるこの体験は、描き手自身に他者の判断によることなく自分の視点を表現し、感情を共有することを可能にさせるという。

現在進行中のプロジェクトについては、自動車をキャンバスにした「アートカー」に関するプロジェクトがある。自動車の輸出代理店やディーラーとのコラボレーションによりこの一風変わった「アート」の世界への輸出を目指していることを話してくれた。「アートカー」という概念は日本をはじめとするアジア地域ではまだ新しいものであるが、今後はクラウドファンディングなどを通し認知度を上げ、プロジェクトを成功させたいと熱く語る。「アートカーは、良い意味で社会にインパクトを与えることができると信じています。経済が低迷する中で、アートは余計なものを一切省き、メッセージを直接伝え、人々の思想に均衡と新たな視点を与えることができるのです。」と語る。

結論として、アートに触れることは人々の精神的な疲労を和らげる、ということは世界的にもよく知られた事実である。アートを通じた人々のつながりと成長へ取り組みは、社会に大きな影響を与えることができる。神経生物学者たちは、アートと触れ合うことと自然と触れ合うことは同じ効果をもたらすという。だから自然に親しむ機会がなくても、アートはそのかわりとなることができるのだ。

もしかしたら、屋内に閉じこもっている人にとって、アートは「毎日の外を眺める」ための健康的な選択肢となりえる。音楽でも絵画でも、その魔法のような世界に心を開くことが、最初の一歩かもしれない。